2015年02月11日

「カボチャの冒険」 〜猫はかっこいいのである

猫を飼うようになると何が危険かって
猫周辺に対する感受性が完全におかしくなって
少々胡散臭い諸々の創作物に対しても
「猫さえ出てればまあいいか」の感じが出てきてしまうことだと思う。
猫を飼うと、生活は楽しくなるけど、文化的には堕落する。……のは困ったことだ。

そんな中、「堕落してないちゃんとした猫もの」を見ると、倍の感動を覚える日々です。

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里山に、飼い主と二人で暮らす、カボチャちゃんという雌猫(一歳未満)のお話。

まず感動できるのは猫のしぐさの一番可愛い瞬間がいちいち絵になっているところで
「そうそうこの、目が覚めた猫がまず前足の伸びをして、それから後ろ足の伸びをするときの
後ろの足がパーに開いてるところがかわいいんだよねっ!」
みたいなところをぐいぐい攻めてこられるのでもう堪らないわけです。
ああやって身近にいる猫の可愛く見える瞬間ばかり心にとどめて再現できる、というのはどういう脳みその仕組みなのか、大変うらやましいですよね。
そういう能力のない人間にとっては「可愛い一瞬」ってすごい勢いでどんどん流れていってぼんやりとは思い出せても、はっきりとは捕まえようのないものなので、思い出の中のうちの猫が呼び覚まされて大変心に染みてしまったりするものです。

それから自然に近いところで、猫と人間とが一対一という対等なバランスで暮らしている空気感が面白いですね。
自然の中では猫も人間もやるべきことがたくさんあるので、毎日それぞれの仕事をしてるけども、一人と一匹の暮らしで寂しいからお互いのことを「常に意識はしている」っていう距離感が、人間も猫もちょうどかっこよく見えて素敵です。

猫の「かわいい」って同時に「野性っぽくてかっこいい」ともかぶってるわけで、そこがばっちり表現されてると、これが感動するのですよねえ。
猫って「かわいい」だけだとちょっと足りないですものね。

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←猫と人間と一対一の関係だと、猫語と人間語の真ん中へんくらいのところで暮らすようになりますよね。





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2014年12月01日

3月のライオン 〜相変わらず身悶えする最新刊

「3月のライオン」の最新号が先週末にやっとでましたが、
奥様もうお読みになりました?
3月のライオン
帯にもあるとおり、「前進の第10巻」ですよ。
叫び声もあげずに静かにおぼれてるみたいな性格の桐山君が
別に劇的な出来事なんか何も経ないまま、地道に、音を立てることもなく、大人になっていってしまいますよ。

相変わらず最後まで一気に読ませる巻ですが
強いて言えば、私は桐山が育った家に数年ぶりに挨拶に行くところがぞわぞわしましたかね。
心が乱れてタマランですね。

こういうシーンでは、凡人の私としては当然棋士として才能のある桐山の側ではなく
そのもがき苦しむ様をすぐそばで見ていなければならなかったお母さんの懊悩の方に心がよるわけですよ。
何に突き動かされてるのかわからないままに尋常ならない努力をし続けることができる桐山に対して
その人柄が好きで、その努力に敬意をはらって、でもそのうえでやっぱり育てのお母さんは、
「あの子の姿は 胸にもやもやと重かった」
と感じてていたことを悟るんですよね。

ただ黙ってすぐそばで桁違いの精神力を見せ付けられ続けるのって、本当にたまんないだろうな、って思います。
自分のそばに居る人は自分と同じくらい堕落していてくれないと一緒にやっていくのは難しいっていうのは、
努力できる側にとっても、できない側にとっても、しみじみ身も蓋もなく孤独ですよね。
もう、なんだかよくわからないけど色んな方面から切なくて全然平常心じゃいられないわ。

3月のライオン
嬉しいような、胸が痛いような、楽しいような、辛いような
色んな気持ちが折り重なってくるので
読んでてどうしていいかわからなくなるんですけども、
とりあえず、また一巻から全部読みなおしたい、と思ったのでした。
一巻から九巻までは電子書籍で買っちゃったんですが
細かいところまでじっくりよみたいから紙で全部買いなおしちゃおうかな
と今真剣に悩んでいるところです。
早く11巻が読みたいものだ(ウミノせんせいがんばれ)。

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↑間違ってCDつきの特別版を買ってしまったのだけど、コミックだけの通常版でよかったな…

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↑本屋さんでは特別版しか見当たらなかったんだけど、コミックのみの通常版も売られているようだ。

←それはそうとうちに猫が来てから将棋を指す暇が全然ありません
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2014年07月18日

きのう何食べた? 〜読んだあと何作った?

私の好きなコミック、「きのう何食べた?」の話をしますよ。

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同居中のゲイカップルが毎日何をどう作って食べたかという話と、そんな日常の中の些細な出来事についてひたすら描いてある、地味といえば地味な作品なんですが、わたくし非常に好きでして。

現在8巻まで出ているようなんですが、これは一気に読むのではなく、ストーリー中に出てくるレシピを試しに作ってみたりしつつ、少しずつ消化するのが楽しいので、本屋さんに行って思い出したら一冊買う、みたいな方式で読んでまして、今のところやっと6巻まで読み進めたところなのであります。

レシピを見るのが元々なぜだかやたらに好きな性格ではあるんですが、こういうふうに「お話つきレシピ」っていうのも、また非常にお得な感じがするので一冊読むとひとつくらいは何か真似して作ってる感じです。
そんな中で今のところ、これを読んだのがきっかけで、気が付けば一番繰り返し作ってるのは5巻に登場するコールスローなんですよ。

きのう何食べた?
コールスローってすごい普通な気がしますが、考えてみればあんまり作る習慣が無かったのですよね。
それがこのコミックでは主人公筧さんが大量のキャベツの保存用に作ってるのを見て
「そういえば葉物野菜の傷みやすいこの季節に便利だよな」
と思って作ってみたんですよね。
そしたら本当に便利なので、結局キャベツ買うたびに作るようになって定番化しました。
きのう何食べた?
作り方は、キャベツとにんじんを千切りにしたところにマヨネーズとドレッシングビネガーと砂糖を入れてざっと混ぜる、という物凄く普通のもの。
この本らしい工夫が見られるのは、味付けの仕上げの塩コショウは30分程度置いてキャベツがぺしゃんこになってからする、というところがちょっと斬新な気がしたんですよね。
たしかに、だいたい水気抜けてから細かい味の調整するほうが簡単だ、と思いまして、以降この方式でやってます。

さらにこの本とは違うけど、もっと美味しくなる私のオリジナルとしては、砂糖のかわりにカルピス使うといい感じになります。
それからドレッシングビネガーを持ってないので、ポッカレモンにしてまして、さらに人参とキャベツのほかに玉ねぎも入れております(←最終的に塩コショウのタイミング以外は結構別のレシピになってる)

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普通の食べ物が堂々と登場する気持ちよさって、あるんですよね。

2巻で登場する牛乳かん(これまた凄く普通のレシピ)も一時期結構何度も作っていたけど、トータルでは、やっぱりコールスローの方が作った回数多いだろうなあ。

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誰でもなじみある料理の中で
「あ、そういえば今まで自分で作ることはあんまりなかったわ」
というような食べ物をわざわざ登場させてくる、その「普段の感じ」がなかなか絶妙で、何巻から読んでも非常に楽しいと思うのでありました。


←筧さんは白だし大好きだったり、手の抜き方が極めて現実的、かつ全体としてはそれなりに丁寧であるという加減がまたいいのです。
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2014年06月11日

きのう何食べた? 〜騒ぎ立てない料理の話

ひさしぶりにコミックの話。
きのう何たべた?
すでに八巻まで出ているコミックの5巻を今更読んでるというのんきな話ですが、
人から薦めてもらって初めて読んでから、たまに本屋さんで目があうと
一冊また一冊という感じでチマチマと読み続けてついに5巻まできました。
それくらいのペースでたまに一冊ずつ読むくらいがちょうどよく楽しい本なのですよねえ。

ゲイカップルが恋人のために夕食を作る、っていうだけの話なんですよね。
「これのいったい何が面白いのかな」
と思いつつ、毎回面白いので一気に読んでしまうという正体がつかめない加減はちょっと「孤独のグルメ」に通じる気がしますね。

孤独のグルメ
↑おじさんが一人でぼやきながらご飯食べることの、何が面白いのかさっぱりわからないけどすごく面白い困ったドラマ「孤独のグルメ」

どちらも「普通」をわざわざ丹念に描いてあることの面白さだと思うんですけどもね、

いくつになっても実家に帰ると自分が家を出た当時の質と量とでご飯が出てくるので困る、とか
知り合いのおじさんがいい人なのだけどちょっと無神経で、いい人なだけに非常に突っ込みずらい、とか
毎週木曜日の低脂肪乳の特売を待ち構えている、とか
そんなものわざわざお話で読んでどうするんだ、っていうくらいな普通の話を
騒ぎ立てない日常、騒ぎ立てない違和感、騒ぎ立てない愛情、
の話でぴーっと一本貫いてあるところが気持ちいいのかもしれないですね。

騒ぎ立てないものの凄さ、ってあるんですよね。
うっかりポジショントークに転んだりしない羞恥心とか冷静な視点とか、あれはなかなか気持ちいいもんだよなあ、と思うのです。

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料理もちゃんと化学調味料とか特売品とかをふんだんに使ってあって非常に普通で美味しそうです。


←そして読むたびに東京の物価が安いのに衝撃を受ける。キャベツ3玉200円って。
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2014年04月12日

3月のライオン 〜将棋さす薄い背中を見るそわそわ

新年度からどういうわけかNHK杯将棋トーナメントがオンデマンド配信されなくなっていたので
なんとなくあちこちの動画で将棋番組を探してみたりなどしてたのですが
そうするとどうしても目につくのが「羽生善治の伝説の5二銀」動画ですね。
あっちにもこっちにもたくさん上がってるのね。

18歳の羽生善治があまりの妙手を打ったので解説の米長邦雄が奇声を上げたというレジェンドだそうで私は始めて知りましたが、ぼーっと見てても確かに面白い対局だよなあ、と思うのです。
5二銀がどの程度奇抜で妙手なのかについてはまったくわかりませんが、その場にいる全員の熱量が異常だってのは伝わってきて、わけも分からず見入っちゃいます。

こういう「天才は天才を知る」みたいなエピソードって凡人の心を奪いますもんね。
知る人ぞ知る、みんな大好き伝説なんだろな、と思ったことです。

でまた18歳の羽生さんの世慣れない感じと、背中の薄っぺらさに、なんかもうハラハラするわけですよ。
今となっては痩せ型ながらも堂々とした貫禄ある方に見えますが、このときは本当に不安をさそうような10代特有の薄っぺらい痩せ方してますね。
で、駒を置くときはびしっとおきますけど、対局終わったとたん自信なさげに目をそらすあたりも、「なんやねん!」という気がするのね。
米長さんも「この少年は〜」って18の男子をつかまえて言ってるけど、将棋がやたら強いだけになおさらバランス悪そげに見えるところとか、本当に「少年期」っていう印象を残す人だな、と思って凝視したりするのでありました。


というようなことをしつつ、羽海野チカさんの将棋漫画「3月のライオン」を読み始めましたよ。

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そしたらなんだか私が「伝説の5二銀」動画を見たときに感じたのと似たような不安感が描かれてて、
「そうですね、私もそれわかりますっ」
と思っちゃいました。
その人がどういう抜きん出た能力があるか、ということとはまったく別に、いかにも傷つきやすげな様子でうろうろしてることに対してなんとなく居ても立ってもいられなくなっちゃう感じ。
どうしてその「不安げに痩せた感じ」を描くのに、将棋の世界を使ったのか、わかるような、わざわざ聞いてみたいような、ところでした。
将棋って子どもの頃にはじめてずっと老齢になるまでひとつ世界に居続けるから、そういう側面が描きやすいのだろうか。
まだ一巻読んだところですが、面白かった。

←解像度の低い電子書籍で見てるので間に出てくる棋譜がよく見えなかったりするのが惜しいところ。
posted by 六条 at 18:00| Comment(1) | コミック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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