2015年06月10日

「三銃士」 〜こんな話だったとは、面白いじゃないか

最近読んで大変面白かった児童書。
三銃士
近所の地区センターの図書室を覗きにいくと、児童書ばかり置いてあるので
最近わりとよく児童書を読んでいます。
どれも面白いのですが最近富に面白かったもの。

三銃士(上) (福音館古典童話シリーズ (19))

新品価格
¥2,484から
(2015/6/10 11:37時点)


三銃士 (下) (福音館古典童話シリーズ (20))

新品価格
¥2,484から
(2015/6/10 11:38時点)



明らかに出先には持っていけない大きくて重いハードカバーで上下二巻なので
正直、全部は読まないだろうなあ、と思いつつ借りたんですが
とんでもない、最後までつい読んでしまう強烈ノンストップエンタメ小説でした。

「三銃士」って、子どもの頃にアニメで見た
「みんなは一人のために、一人はみんなのために。」
という野暮ったい教訓の混入したいまいちな御伽噺的イメージがずっと強かったんですが、
まあ当然ながらそんな台詞はどこにも出てこないですし、
腕に覚えのあるのならず者三人組が野心の赴くままにあっちこっちで落花狼藉を働く、という大変にお行儀わるい話で、行儀悪いってことは、すなわち面白いですよね。
宿屋の酒蔵に立てこもって連日ただ酒を飲み続けながら「俺は貴族だ文句あるか」って威張り倒すとか、昨今のやくざよりだいぶ酷いんじゃないかという気すらします。

大人になってからじっくり読むと、
宗教戦争直後のヨーロッパの混乱ぶりとか、
新教、旧教をめぐって一触即発の外交関係の中を嫁にやったりとったり、惚れたり晴れたりの、血縁と情で関係をつないでいくことでなんとかぎりぎりの平和を維持している王朝の様子などが細かく描かれているのが大変興味深いのです。

世はルイ13世治世下のフランス、妃はスペインから嫁いできたアンヌ王妃なのですが「オーストリア系のハプスブルグ家の血筋なので顎がしゃくれてる」
って書いてあったのが、またちょっと面白い。
ヨーロッパの名門ハプスブルグ家が近親婚を重ねるうちに遺伝病でどんどん顎が前に出てきて「ハプスブルグ家の顎」って言われるくらい一族みんな下顎が長い、っていうことを私はわりと最近知って「面白い裏の歴史だなあ」と感心してたんですが、
裏歴史も何も、子どものころから知ってる小説にこんなに堂々と書いてあったとは恐れいった、と思ったことです。

↓Huluで配信中のBBCドラマ「マスケティアーズ」も好物。
マスケティアーズ
→動画配信サイトHulu「マスケティアーズ 三銃士」
こちらはポルトスが黒人になっているのが興味深いですね。
原作にはない設定なんですが、作者のアレクサンドル・デュマ自身が黒人の血を引いていることを踏まえているのでしょう。原作やその背景に敬意を払いながらも、新しいストーリーを作ってあって大変楽しめる。



それはそうと、外出先に持っていけないサイズの本を横になって読んでいると
しばしば寝オチして顔の上に降ってくるんですよね。
私と、私の腹の上で寝ていた猫がふたり同時にびっくりして飛び上がることしばしば。
片手で持てないサイズの本は猫の安眠によろしくないのでありました。
三銃士
本読みながら寝るんじゃねーっ!

←猫はなぜ何の疑問もなく人の上で眠るのか。
posted by 六条 at 18:00| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月18日

「舌の記憶」 〜ドーナッツの名誉回復

ドーナッツは、荷が重い。

「ドーナッツ」という言葉から連想される、かなりポップで
芯が無く身軽にチャラチャラ身過ぎ世過ぎしてそうな印象に比べて
食べた後に胸と腹にノシッと居座る圧迫感にインパクトの差がありすぎて
どうも軽い詐欺に合ったような気になる。
あれほど、威圧的な後味を残してくるならドーナッツなどと気安く名乗らないで
もうちょっと重そうな響きの名前にしたがいいじゃないか。
なんか、「ベルベロヴァラコナスブッフォッフォ」とか。…わかんないけど。

「舌の記憶」というとっても後味のいいエッセイ集の中に「ドーナッツ作りにうってつけの日」という章があって、昭和30年代のドーナッツを取り巻く風景がとりわけ心に残る。

舌の記憶 (新潮文庫)

中古価格
¥1から
(2015/5/18 16:04時点)



心遣いとみみっちさと期待値において私の知る今時のポップで個人主義的なドーナッツとまったく違う、しんねりした晴れがましさが随所に匂う。

忙しい母の邪魔にならないよう、子ども心にも細心の注意で頃合を見計らってドーナッツ作りを提案する大人びた心遣い、
油きり用の包装紙を押入れの奥から出してくるのに、できるだけ地味な柄を選ぶ暗黙の「家ルール」、
ドーナッツ型で生地を抜いていく、という格別のイベント感、
油から出したドーナッツに砂糖をまぶしていくタイミングをじっと見計らう娘の、子どもなりの熟練、
最後にはまず仏壇にあげられる「家族ぐるみ臭」、
ドーナッツひとつに含まれる物語の総量が、なんだか凄い。
これだけ最新の心遣いのうえに出来上がっていくドーナッツというのは今はかえってあまり出会えないだろうなあ、という気がして、読めば読むほど食べてみたくなるのだ。

「今まで人生の中でドーナッツを食べたい、なんて思ったことなかったけどな」
と思いながらも、家にある材料だけであっという間に出来てしまうものであるから、ということで試しに作ってみる。
作ってみると、これがまた、ちょっとびっくりするほど美味しいのだ。

さくっ、かりっとして、売り物のドーナッツにおなじみの油くささは全然なく、
ただ小麦粉と砂糖を揚げただけの物体なのに、後を引く味と歯ざわりがする。

ドーナツ
Cpicon フライパンに油1cmで♪ふっくらドーナツ by Legelo

ドーナッツって、あまり量産にはむいてないせいでここ半世紀の間にひどく地位を落してしまったけど
家庭でのちょとした贅沢として作ってたころは美味しいものだったのだろうなあ、と
なんとなくエッセイひとつからドーナッツの名誉回復に至った昨今、
ついつい、暇があればドーナッツを揚げてしまうようになった。
年増の一人暮らしにしちゃ妙な趣味だ。


←文章のうまい人の書く食べ物の話っていうのは、読んでも食べても、楽しいね。
posted by 六条 at 18:00| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月28日

「怪獣人生」 〜ついつい見入るかっこいい中の人

昨日落語会に行く予定だったものを、時間迫るに連れてどんどん咳と鼻水がけたたましくなってきまして
前売り買ってなかったこともあってさすがに諦めたんですよ。
鼻風邪ってだるくもなんともなくてただひたすらうるさくて面倒臭いだけのことですが、
どういったものか滅多に引かない風邪を、またえらくだらしない季節に引いたもんだな、と思って情けないことです。

というわけで泣く泣くとぼとぼ、会場へは行かずに近くの図書館に立ち寄ったりなんかしまして
そんな私を癒したのが元祖ゴジラ俳優中島春雄さんが書いた「怪獣人生」
ゴジラ
今年は夕張映画祭で怪獣原画展を見てきたり、つい最近は怪獣表象論、という小さな講座聞きに行ってみたり
なんとなく私の中で静かなる怪獣ブームイヤーが来てるような気がするのであります。

この「怪獣人生」っていう本も、文章も面白いんだけど、中の写真を見てるだけでたまらなく面白いのです。
やっぱり円谷の怪獣たちの魅力はあの「着ぐるみ感」だったんだなと感じ入りつつ、ついついマジマジと見てしまう写真ばかりたくさん載っているのでした。

中でも私の好きな写真。
ゴジラ
スタッフ「あの怪獣をやっつけてくれっ!」
ゴジラ「はー。ああ。今っすか?」
っていう感じに見えるゴジラの目線が素晴らしくいいじゃないですか。
中の人がひと息入れてると、やっぱりゴジラもひと息いてれて見えるんだからやっぱり着ぐるみはすごいよね。
ちなみにどうしてこういう目線になるかというと、言うまでもなく首のところ穴から中島さんが見えてるから、普通に人としゃべるとこうなるわけですね。いい写真じゃあるまいか。


ちなみにもう一個、私のお気に入り首の穴シリーズ
ゴジラ
わかりますかね。首から煙草吸わせてもらってるゴジラの図。
しかも吸わせてる方はアンギラスだそうです。

↓アンギラス。「ゴジラの逆襲」で大阪城を壊したヒト。

MM アンギラス2005

新品価格
¥2,160から
(2014/4/28 13:47時点)




「二日酔いにはゴジラに入るのが一番効く」って書いてあるほど中はサウナ状態らしいですが、サウナで煙草吸いたいもんですかね。
……吸いたかったんですね。昔の大人ってたいていこういうもんでしたよねえ。

こういう素で油断してるゴジラの面白みとかを見てると、今のゆるキャラブームに続く系譜が脈々とあるのに感心しますが、
この頃ってまだ「楽屋オチと裏話でもうひと儲けしよう」っていう下心がなくて、制作する人はちゃんと自分たちの作る世界観を守ることを大事にしてたことが見てとれて、やっぱり清々しいのです。

2作目以降の「しぇーをするゴジラ」とかのいかにもな軽さには私はあんまり興味ないんだけど、一作目のゴジラとか、初期のウルトラマンシリーズの、子どもにトラウマ植え付けてくるシリアスなバックグラウンドを持った怪獣と着ぐるみ感はぐっと来ます。

怪獣人生 〜元祖ゴジラ俳優・中島春雄

中古価格
¥1,870から
(2014/4/28 14:08時点)




←ハリウッドの新作ゴジラも近々公開されますね。
posted by 六条 at 18:00| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月25日

ウルフ・オブ・ウォールストリート 〜まさかそんなに原作どおりだったとは

最近読んだ面白い本。
ウルフ・オブ・ウォールストリート
たまたま時間空いたときにふらっと本屋に入ったら平積みになってたんですよね。
映画はすでに見ていて非常に面白かったんですが、原作も面白いっていう噂を聞いてたので何の気なしにぱらぱらっとめくってみたのです。
そしたら止まらなくなって仕方ないのでそのまま買ってきてしまった一冊。

映画がまたちょっと信じられないくらい酷い映画(←褒め言葉)だったので、当然映像化にあたって誇張してるだろうな、となんとなく思ってたわけです。
いくらなんでも営業時間中の証券会社のフロアをコールガールが半裸で歩いてるとか、社内にいつでもドラッグがあってみんなおおっぴらにそれを吸いながら仕事してる、とか、根拠はあるにせよ映画用に誇張してるだろう、と思うじゃないですか。

原作読んだらむしろ物凄く忠実に映画化してあったんだ、ということに気づいてびっくり。
いや、面白いです面白いです。
(原作の時点でエピソードを盛ってある可能性はだいぶあると思うけど、そこまで含めてジョーダン・ベルフォードって人の人柄と考えるとまた興味深いのです。自分のことを書いてるのに、ここまで薄っぺらな人間像をわざわざ誇張する意味が分からない。)

どう考えてもコメディとしか思えない内容のものを自伝として書いてるという迷走っぷりといい、
証券詐欺で逮捕されて22ヶ月で出てきて、当然まだ関係者一同生きてる中、自伝を出版し、映画化し、ついでに本人は自己啓発セミナーの講師として成功してるとか、どういうことなんだ一体。

そしてこのジョーダン・ベルフォードっていう人自体はなんだかよくわからないけど悪びれなさすぎていっそ清々しいわけです。
この人自体の人間性云々の話じゃなくて「資本主義っていうのはお金稼ぐ能力が一番偉い世の中」っていう考え方でどんどん向上心持っていったら、誰であれ最も能力ある人がこういう形にならざるを得ないよなー、と感心するのでありました。

↓自伝の面白さからしても、人の心を掴む能力のに長けてるのがわかる。

ウルフ・オブ・ウォールストリート 上 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

新品価格
¥821から
(2014/4/25 15:42時点)




↓長いけど腹抱えて笑える映画だった。まさか原作にこんなに忠実とは誰も思うまいよ。



←どれだけ金額が大きくなってもやってる詐欺ってのは非常に単純なんだなあ、と感心もします。
posted by 六条 at 18:00| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月02日

「夏への扉」 〜電気バケツから洗濯板への道しるべ

急に変なもの欲しくなる時ないですか。
ここ数日くらいですかね、なんだか急に電動バケツが欲しくて自分がやっかいでした。

そうは言っても私は「物欲」よりは「身軽」という状態にはるかに強く執着するタイプなので結局買わないところがエラいんですけどねっ!
でも思いつきでこういうの買っちゃう人の方が、人としては面白いよなぁ、という妙な嫉妬心みたいなのもあるのです。

KING JIM プチランドリー「スウォッシュ」 LA5

新品価格
¥9,908から
(2013/12/2 13:53時点)




私は一回も洗濯機っていうものを買ったことがないのですよね。
衣服やタオルの類は風呂の時に自分と一緒に洗っているので、
むしろ一人暮らしで洗濯機を持ってる人ってのは
「いったい何をそんなに洗ってるんだろうか?」
ってのがちょっと不思議だったりするほど、洗濯機の必要性ってピンときてないわけであります。

それはそれでいいとして。
台所で洗う布巾は、つけおきしておいて毎日台所シンクで洗って干すわけですが、いかな暇人といえどもちょっと手が回らないままに数日分たまっちゃうことがあるわけです。
かと言って食品に直接触れる布巾に髪とか付くと抵抗あるので風呂では洗わないんですよね。
洗わなきゃいけない布巾の枚数はだいぶ増えるわけです。
そうすると、シンクの深さがですね、洗い物をするとちょうど腰痛くなる高さなんですよ。
「うっ…たまった。億劫だ…」
と思ってるうちにまたたまる、というのが最近よくやる私の戦いなわけです。

そこに来て、なんとなくドラえもん的に
「電動バケツぅ〜」
という響きになぜか急激にに魅了されてしまったのでした。
普段洗剤と一緒につけおきしてるバケツがぐるんぐるん動いて勝手に洗濯してくれたらいいなぁ、っていう妄想を体現されちゃった感じですね。



「電動バケツってもんがあるぞ」
っていうのは、電気屋さんなどで見かけて昔から知っていたんですが、
急にこういうところにロマンを感じちゃうのは、どうも今読んでるSF小説「夏への扉」の影響があるんですよね。

夏への扉 (ハヤカワ文庫SF)

新品価格
¥777から
(2013/12/2 14:36時点)



これは家庭用ロボットを開発してる技術者が主人公の非常によくできたSFですが、
「今にどの家庭にもロボットが浸透して暮らしはずっと楽になって、人間は楽して好きなことだけやってればよくなるだろう!」
みたいな半世紀くらい前の少年のロマンに溢れていてすごくいいんですよね。

でも今このタイプのロマンがかなり下火になったのって、いろいろな方面で機械化が進んだ結果
「結局細々したことは機械じゃなくて人間がやるのが一番効率的だ」
ってことに大体みんな気づいちゃったからですよね。
賢くなったけど、ロマンは一個減ったな、っていう気がするわけです。

で、私がこの電動バケツを、
「…まぁ、本当のところはいらないよね。」
と思ったのも、結局ふきん程度なら自分の手で洗うのが一番手っ取り早いに決まってると思うからなわけですし。
毎日のふきんごとき洗うために、いちいち排水の都合と給水の都合と電気の供給とか考えてるくらいなら、右手と左手を使ってあとは環境に合わせてチャッチャッとうまいことやりますわよね。

というわけで機械の限界に冷静な時代に生きている私が、最終的に欲しくなったのは洗濯板だったのでした。

Lotta Home ミニ洗濯板 TRLH0101

新品価格
¥1,575から
(2013/12/2 15:14時点)



クリスマスに洗濯板買っちゃおうかなー(涙)

基本的に目新しいもの、機械のもの、にそんなに興味持たない私を「電動バケツ」に目覚めさせた「夏への扉」のSF力は、なかなかのもんだと思う。面白いです。

夏への扉 (ハヤカワ文庫SF)

新品価格
¥777から
(2013/12/2 14:47時点)




こんなのもあったけど、こっちは排水ホースがないからいちいち傾けて水を出す必要があって、それこそ濯ぎがえらいこと面倒だろうなぁ、というのが想像できる。(そういう不器用な感じがちょっと面白い)

バケツ洗濯機 電気バケツ AK-M60

新品価格
¥5,400から
(2013/12/2 14:42時点)





←人間の手ってすごく便利にできてるのよね、結局

posted by 六条 at 18:00| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。