2016年03月23日

ヘイトフル・エイト 〜裏地の黄色が目に染みる

クエンティン・タランティーノ監督の新作「ヘイトフル・エイト」を見てきたました。

ヘイトフル・エイト
→公式サイト 映画「ヘイトフル・エイト」

とりあえず何がびっくりしたって168分もあったってことで
面白かったんだけど、終わったときにはさすがに足腰に来てる感じではございました。

タランティーノの作品って、「なんとなく全体として好き」っていうところがありまして。
あのぶっちぎりでかっこいい映像と音楽がまずあり、
うっぷんとかなんとか色々溜まってるのを耐えに耐えていたら
血まみれカタルシスがあって、憎たらしいやつが派手に死ぬ、
みたいな様式美として完成形という気するので細かいことはいいんです。
いいんですけど、それでもあえてわざわざというと、
タランティーノっぽさと密室劇のスタイルは
そんなに合わないかもしれないなあ、という気は少ししました。

ヘイトフル・エイト
↑主に憎悪にまみれているのは8人だけど、このほかにもまだ御者とか、結構たくさん出てくる。

とくに登場人物が8人も居ると
8通りの来歴を説明しないといけないわけで、やっぱりスピード感がそがれてしまう感じは否めないし
「よく考えてみると、あの人あんまり必要なかったのでは?」
という人物が出てきたりするんですよね。
一番最初に死ぬおじいちゃんがいるんですが
冷静に考えると映画のリズム感のためだけに「ここらで一人殺しておくか要員」として登場して殺されたといえなくもないなあ、とちょっと思ったりします。

ほんとなら密室にしないほうがストーリーも分かりやすく展開もスムーズになるんだろうな、と思いもしたんですが
たぶん「狭いところに憎しみあってるもの同士が押し込められて、選択の余地なくそこで暮らさなければならない状況」って、
今世界で起こってる出来事なんですよね。
それぞれ全員がいろんな偏見、憎悪、思惑があって、欺きあい殺しあって、なかなか話の展開しない感じとか息苦しさとか、
そういうものがそのまんま監督が一番描きたかったもんだとするならば、
そんないじりにくい生の社会問題をあんなに悪趣味なエンターテインメントに仕上げるタランティーノってやっぱりすごいよなぁ、と素直に思うのです。

そういう意味では島国日本人の私としては、あの映画に潜んでる細かい差別意識とか偏見とか汲み取れないものいっぱいあるんだろうな、という気がします。
登場人物が8人出てきてるのも、当然何か意味あってのことなんだろうなあ、と思いつつ、何も思いつかない体たらく。
まさか、監督8作品目だからっていうだけの単純な動機じゃあるまいよ、え?タランティーノ殿!

ヘイトフルエイト
↑黄色のコートの裏地が目に焼きついて離れないサミュエル・l・ジャクソン。

それにつけても、サミュエル・L・ジャクソンのかっこよさですよ。
大きな黒い帽子に真っ赤なネクタイ、防寒バリバリの分厚いコートの裏地がまっ黄色。
何その色彩センス。江戸っ子か。
ものすごくよく似合っている帽子を取ったら、思ったより頭皮がちだったんで
「…ああそうだ、こんなかっこしてるけど、いい年なんだよなあ」
と思って、二度感心。
すごいですよね、普通のおじいちゃんがああいう色彩センスで闊歩してたらちょっと心配しちゃうものね。
そういう細々、端々が行き届いてかっこいいところが、やっぱりニクいなぁ、と思ってしまうのであります。

エンターテインメント映画としては前作の「ジャンゴ」のほうがよりノリやすい映画だったような気もするんですが
でもやっぱり好きだった。(でも次回作はもう少し短くして)


↑ところで予告映像では密室殺人の推理モノ、みたいな紹介の仕方してますけど、
別にそういう映画ではない。なんでこういう不思議な予告つけるのかね?

←←最後の最後で「デスプルーフ」のときに車に張り付いていたスタントウーマン、ゾーイ・ベルが出てきたのがなんか妙に嬉しかった。お元気そうで何よりでした。
posted by 六条 at 18:00| Comment(0) | 映画とDVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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