2016年07月28日

盛り上がる猫の昼、盛り下がる人の朝。

Amazonから、荷物が届く。フレンチプレスである。
本当はコーヒーを淹れるための道具だが、かつおだしを取るときに使うと手軽なので壊れるたびに買い替えている。
開封して、サイズやら作りの頑丈さやらをためつすがめつしていると、
空いたばかりのAmazon段ボールに猫が飛び込んで座る。

みっちみちのところにぴったり座り込んで、らんらんとした目でこちらを見ている。
見つめあう。
だんだんと猫の目がとろんとしてくる。
ゆっくり瞬きをする。
見つめあってるうちにとろんとしてくるときは、彼の中で愛情が最高潮に盛り上がってるときだ。
少女漫画なら「壁ドン」くらい、
初代ウルトラマンならスペシウム光線くらい、
時代劇なら火事の中で切腹くらいの山場だ。
どかせてたたむのも忍びないので、箱の中で猛烈に盛り上がってしまってる猫とひとしきり遊ぶ。

そのうち、箱と飼い主に飽きた猫が長くなって眠る。
邪魔なAmazonの箱だけがそこに転がっている。

さっさとたたんでしまおう。
腰をかがめて手を伸ばした私の指先すれすれに、すっと猫が走ってきてみっちみちのところにぴったりと納まる。
らんらんとした目でこちらを見る。
見つめあっているうちに、目がとろんとしてくる。
将棋なら伝説の伝説の5二銀くらい、
ソフトクリームならコーンのしっぽのカリカリくらい、
サミュエル・L・ジャクソンなら「マザファッカ」の連発くらいの山場である。
盛り上がってるところをどかすのも忍びないので…



起きぬけの私がしばしば箱にけつまずく理由である。
猫




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もしひまつぶしに私の雑文を読んでくださる方いらしたら、ログイン通知の受信の設定してもらえると嬉しいことです。
画像をつけたいものと長文になるものは、相変わらずこちらに書いていく所存なのでよろしくお願いします。
ライブでゴーゴー


【おまけ】
猫
↑ひとりで遊んでるときに盛り上がるとなぜか女豹のポーズっぽくなる。この格好には大いに問題があると飼い主は考えている。

←一枚目の写真にも写り込んでいる通り、コンセントの噛み癖もあるのです。愚猫である(超かわいい)。
posted by 六条 at 19:43| Comment(0) | ちーちゃん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月19日

ファインディング・ドリー 〜人面魚に目が慣れるまで

ファインディング・ドリーを見てきました。
劇場へ行って着いた時間にやっているものを適当に見た感じだったのですが、
偶然にも公開日で、結構人も入っておりました。

ファインディング・ドリー
→公式サイト 映画「ファインディング・ドリー」

前作の「ファインディング・ニモ」を未見のまま、
そのスピンオフともいえるドリーを先に見てしまう結果になったのです。
ストーリー上は独立した作品ではあるので、前作を見ていないことによって困ることはないんですが
率直な感想としては
「人面魚がけっこうキツい」
と思う部分ありました。

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↑前作は13年間の作品。カクレクマノミの大流行しましたな。

「ファインディング・ニモ」のほうだと、まず主人公のニモがまだ5,6歳くらいの雰囲気なので
人面魚とはいえ、話しぶりが行動が結構かわいいのです。
で、そんなニモを助けてくれたちょっと変わってるけど信頼に足る友達としてドリーが出てくるので
ニモの視点を通して程度感情移入できるようになっているのです。
おそらくは、そんなひそかなドリー人気にこたえてての今作でもあるでしょうから。

ところが、その共感の下地のない状態でいきなり劇場にいったところ、
いきなり落ち着きのない人面魚に出会って当惑する、
という事態に直面してしまったのです。

ファインディング・ドリー
↑冒頭登場するベビー・ドリーは、それでも結構かわいかったのだけども。

まずドリーの年齢がたぶん思春期くらいの設定なので、
しゃべり方、や行動の幼さなど「カワイイカワイイ」で強引に引っ張ってもらえるわけではない。
そのうえ「記憶が長く続かない」という病があるので、行動に一貫性がない、
陽気な性格なので脈略ないことをよくしゃべる。
というわけで、いわゆる「うざいキャラ」であるのです。
(じーっと見てるとだんだん平野レミ氏に見えてきたりなんかして)。
もう少しなんとかしてドリーに求心力を持たせてあればよかったなあ、と思うのですが
私にとってはそこが少し弱かったのが残念なポイントではありました。

ファインディング・ドリー
↑おとなになって顔が細くなってくるとさらに感情移入しにくい。共感の深さはどれくらい人間に似た顔をしているか、によってしまうのであるからして

「うーむ、よくできていたのにどうして思ったより楽しめなかったのだろうか」
と思いつつ帰宅して、「ファインディング・ニモ」を見たら
陽気ながら人知れない苦労をしているドリーにちょっと心寄せられるようになったので、
これはやっぱり一作目から順に見るほうが正解だな、と思いました。

ストーリーも、比較すると「〜ニモ」のほうはだいぶわかりやすかったのですよね。
はぐれてしまった幼いニモが頑張ってお父さんのところに帰る、というシンプルなもので、
その過程でお父さんはお父さんでいろいろなものを乗り越えて自分の息子が独立したひとつの人格であることを理解するし、
ニモはニモは一人で命を賭した冒険をすることで生きていく自信を手に入れる、という
比較的誰にでも共感しやすいものなのです。

それに比べて「〜ドリ」ーのほうは
家族を探すドリーを、ニモ親子が探す、
という形に話が二手に分かれてしまっていて、わかりにくくなっているのです。
ドリーが大人になる過程で自分の居場所を探す旅に出る、というのは理解できるのですが、
少なくてもニモ親子のほうが前回もう乗り越えるべき事柄は乗り越えてしまったので
今更親子として何かを探しに行かなくてもいいのではないか…という必然性の問題もあります。

しかも行きつくところが海洋保護施設、という人口のエリアなので
どうも同じような場所を何度も行ったり来たりしてるような堂々巡り感もあって
あまりすっきりしないところもありました。

とはいえ、CG表現も素晴らしいし、キャラクターもいいし、
音楽の使い方もいいし、アニメとしては十分楽しかったのですが
シリーズとして比較してみてしまうと、もうちょっと高いところに期待値をもってしまうよね、という感じではありました。






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ところで記憶が続かない映画といえば「メメント」。
こっちは家族に会いたい一心などというハートウォーミングなヤツではなくて、復讐の執念だけで健忘症を乗り越えていくサスペンスですね。
「欠点は長所でもあるのだから、まずあなたができることを一生懸命に!」
みたいなふんわり自己肯定系ではなくって、
現状があって、目的があるんだから、いかにしてその間を埋めていくか、ってのいうことだけを身を削ってゴリゴリゴリゴリやっていく、という質実剛健消耗系。
私としては、物事の乗り越え方の知恵としてはこっちのほうが元気でるような気もする。
実践的だし(でも子ども見せるのは無理だな)。

←同時上映の短編「ひな鳥の冒険」は素晴らしかったです。あの水と鳥のフワフワ感の表現!
posted by 六条 at 18:00| Comment(0) | 映画とDVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月09日

猫と梅 〜我が家で無精に見えることふたつ

今年の梅仕事。
余裕のある時に1キロずつ梅の実を買って帰り、
わさわさっと洗って拭いて、200グラムの塩と一緒にジップロックに放り込んで
うえから大きめの本をのせておく、という極めて無精な漬け方をして
今のところ3キロまで仕込むことができました。

梅干し
↑3キロの梅を漬けている風景。時代が時代なら叱られそう。

まだしばらく梅の実が出回ってるようだったら今年はあわよくば5キロぐらいつけられちゃうかもしれないぞ、
という野望すら抱き始めた7月。
ジップロックでつけると、殺菌消毒とかで気を使うこともなし、梅の量に合わせた大きなバケツも重しもいらないし、
ジップロックの数さえ増やしていけば最終的に何キロでもつけられるし、これはもしや最強なのではないか、
と自らの発明のすばらしさの予感に打ち震えております。

梅干し
↑無精して日付も書いてないものの、たぶん端から10日目、1週間目、3日目、くらい。劇的ビフォーアフター。

あとは、七月末の土用干しを待つばかり。

さて、暦のうえでは土用も視野に入ってくる夏の気配ですが、
恐ろしいことに我が家ではまだこたつが出ています。

猫
↑こたつ猫。さすがに中でなくて上で寝る。

こちらは無精してしまわずにいる訳ではないのです。
朝晩なんかは案外涼しくて、こたつがあっても苦にもならない、という理由ももちろんあることにはあるんですが、
うちの唯我独尊系内弁慶猫が、玄関のチャイムが鳴るたびにものすごい勢いで駆け込む、
「絶対安全地帯」として熱烈にこたつを支持しているため、
彼からそれを取り上げてしまうのが忍びない、という大きな理由があるのです。

猫
↑うっかり座ると猫に死ぬほど絡まれる。

私に対しては
「おーおー、あそばねーのか、おらおら」
くらいの圧で常に迫ってくるくせに
未知のものに対しては迷わずしっぽを巻いてこたつに逃げ込む彼の性格を目撃するたびに
飼い主としては、ちょっとばかり勝ち誇ったような気持になって気分がいい。
「はっはっはっ。ダメなやつだなあ。お前は。私がいないとだらしなくっていけない」
…と言いたい。
せめて、猫に向かってくらいは言いたい。

それが我が家にまだこたつが出ている理由。

←一番情けないのはだーれだっ
posted by 六条 at 18:00| Comment(0) | ちーちゃん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月04日

ポーラX 〜緊張と緩和なんでございます。

久しぶりに大変変わった映画を見ましたが、大変面白うございました。


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【あらすじ】
城に住んでる(!)お金持ちのボンボンがある日、腹違いの姉を名乗る人物に出会う。
姉は、どうやら東欧系の難民であり、虐げられた暮らしをしています。
その存在を知ったとたん、ボンボン氏はなぜか
「この世の真実を見つけたりっ!」
となってしまい、
自分の裕福な生活のすべてとフィアンセを捨てて、姉と手に手を取り合って出奔します(なぜなんだ)。
そして、生活の術もないまま、順当に落ちぶれていき、最後はテロリストのアジトの倉庫みたいなところに間借りして暮らすようになります。
頼みの綱として書いていた小説ももちろん認められず、体も悪くなり、最後には発狂して往来で自分のいとこ(?)を追い回し、「これで我々一族を根絶やしにできるっ!」と叫んで射殺します(どういうことなんだ)。
警察にその場で拘束された落ちぶれボンボンを見て姉はその護送車に飛び込んで死にます(だからなんなんだ)。

という、あらすじだけ書くとただ暗いだけでて別に見たくなるような要素はないですな。

ポーラX
↑金持ちのボンボンと、突然現れた隠し子の姉。

ところが結構面白いのは、
まずひとつには、妙なコメディのセンスに終始彩られていることです。
いわゆる桂枝雀師匠いうところの「緊張と緩和」っていうんですかね、
時々さしはさまれる、爆笑、失笑、苦笑い、が好みだったのでございます。

一番笑ったのは、落ち延びて落ち延びて、不幸な状態でテロリストのアジトにたどり着いたとき、
その倉庫の地下みたいなところで、みすぼらしい恰好をした人たちがめいめいよく分からない楽器を手にして
よく分からない音楽を一生懸命に奏でていたシーン。
それまでは結構フランスっぽい陰鬱なメロドラマの流れで来てるのに、ここから急に前衛芸術みたいな全然別の映画になっちゃうわけですが、
そのつなぎのガラクタオーケストラのミスマッチがまあ極端に目立っておもしろく、
ひとりで「えーーっ」と奇声発してしました。
このアジトのシーンからいよいよひどい目にあっていくわけですが、このボロボロオーケストラのおかげで
「今見てるのはふつうの映画じゃないんだ」
っていう宣言になってたのが、いい感じのクッションです。

ポーラX
↑倉庫の地下の謎オーケストラ。みんな不幸せそうである。


あと笑ったシーンは、「最近、黒髪の女性につけられてる夢をみるんだ」って悩んでいた主人公ボンボン氏が
初めてその黒髪の女(姉)が本当にいることに気付いて、追いかけようとした瞬間の姉の転びっぷり。
あまりにもコメディ的に完璧だったので、思わずそこだけ巻き戻して見直そうか、と思ったほどですした。カテリーナ・ゴルベワ、いい女優さんだねー。

polax
↑この男根の形の岩の下に”そっと寝そべりに行く”シーンも結構笑った。こういう「なんか一人で盛り上がっちゃう精神状態」ってわかりますわ(ツライ)。


そんなわけで、いろんなシーンに大笑いはしたんですが、非常に身につまされる話でもあります。
「これこそが真実の自分だっ!」
と思いこんで、どんどんどんどん”それ”を剥いていったら、実は剥いちゃいけない玉ねぎみたいなもんで最終的に中身がからっぽだった、という話。
正直、ありがちすぎてツライので今さら直視させないでいただきたいところです。
「みんな愚鈍だから真実に気づかぬふりをして生きているのではなくて、そもそも自我玉ねぎは剥くもんじゃなかったんだーっ!」
って、剥き終わってから気付くもんだよねー(しみじみ)。

ポーラX
↑最後は人を殺して警察に拘束される、というまあ暗い話ですが。



謎のアジトのシーンから以降は現実なのかどうか自体がちょっと良く分からない撮り方なんですが、
血の海で溺れるシーンなんかがあることから考えても、
ダンテの地獄めぐりがモチーフであるように私には見えました。
一人の人間の「光の側面」であるボンボン氏と、「影の側面」である寄る辺なき姉とが一緒に地獄を巡ります。、
それを救うためにボンボンの元フィアンセが救済の天使としてアジトに登場するんですが、
二人の魂は救われることはなく、ふたりともほぼ同時にこの世とのつながりを失ってしまいます。
ラストで絶望した姉が車に飛び込むシーンでは、天使であるフィアンセが、隣にいた自分の弟の目をパッとふさいで、魂が地獄に落ちる瞬間を見せないようにする、というやさしくて印象的なカットにつながっていたのだと思います。

ポーラX
↑白い衣装の婚約者。いい人であります。(いくら金持ちのウエディングドレスでもそんな作り方はしないだろう)

そんなわけで、前半は金持ちのボンボンの中二病を巡るメロドラマ、
後半は地獄めぐりの旅、
そしてわが身を振り返って居心地悪い思いをしつつ見つつも、唐突なユーモアシーンにきゃっきゃうふふと見る私。
といったような作品でございまして、結構好みでありました。
地獄物、好きなんですよね。



レオス・カラックス監督見たことなかったですが、どうかしてるので、もうちょっと見てみたい。

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←秘密を暴こうとして、城の中の塗り固めた扉をたたき壊してみたら、中が空っぽでがっかりした、というシーンが間抜けで悲しくて好き。
posted by 六条 at 02:39| Comment(1) | 映画とDVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする