2016年02月19日

オデッセイ 〜案外陽気な火星放置プレイ

「オデッセイ」見てきました。
マッド・デイモンが火星に置き去りってだけで、すでにかなり面白い。

オデッセイ
→公式サイト 映画「オデッセイ」

我ながら、ほんとうに
「いまだにかよっ!」
と思ってしまったことには、地球以外の惑星の上を歩くときのイメージって
アームストロングが月面をぴょんぴょんふわふわジャンプしてるイメージなんですよね。

そこからあんまり知識も更新されてないまま(1970年からか…)
オデッセイを見たら、軽装の宇宙服を着て火星の上を普通に歩いていたので、軽く混乱しました。
よく考えてみると、火星は重力あるんでしたっけね。
理科の時間にそんなことも、聞いたことあるようなないような。

オデッセイ

その程度の知識で見ているから
マッド・デイモンが火星でひとりぼっちになり、次の探査機がくるまで
「食料が足りない!」
っていうのでひと騒動にはなるけど、水と酸素についてはそんなに深刻に悩んだ形跡がないことが、映画的な演出なのか、環境によるものなのか、
っていうのが、映画鑑賞中に判断できないんですよね。

帰ってから落ち着いて考えたら多少とも重力があるということは惑星のまわりに大気の層はあるわけで、その中に少量でも酸素とか水素とかがまじってるとすれば
装置さええあればありものでやっていけるんだろうな、
と思うにいたったのですが。
なんていうのか、全般に知識が低すぎて、どのへんにどう驚いていいのかがいまいち頼りなかったのでありました。

オデッセイ

マッド・デイモンが宇宙で生き延びるために孤軍奮闘していることを考えると
従来のハリウッド映画だったら、
地球に残してきた幼い息子くらいはいて
「息子のために俺は死んでも生きてやる!」
みたいな熱烈親子愛は絶対に入れてくるだろうと思っていたのですが
それがなくて、けっこう淡々と物事に対処する話だったのがなかなか意外でした。

起こってる事態に比べるとマッド・デイモンは一貫して場違いなくらい楽天的で,
その感情的になりすぎないところがきっと監督リドリー・スコットの狙いだったんだろうなあ、とは思ったのです。
それはたしかに良かったんですが
たとえば「ゼロ・グラビティ」みたいに圧倒的な宇宙空間の恐ろしさで押してくるのでもなく、
男一匹努力と根性で生きぬく感情ドラマで押してくるのでもなく、
かといってドキュメントタッチなのか、といえばどうもそうでもなさそうで(とはいえ知識が足りなくてそのへんがあんまり判断できないのだけども)
見ていてどこにポイントを置いたらいいのかあいまいな気持ちにならないでもなかったです。
面白いんだけど、もうワンプッシュどこかにぐっと引き込まれる要素がほしいよう…という気持ちはちょっとありました。

実は私、一人暮らしがすごく好きなのですが、その好きな理由のひとつに
「このままずっと一人で、ちょっとずつ気が狂っていっても誰にもわからないなあ」
と考えていると、なぜか
ちょっと気持ちよくなる
という謎の空想癖があるんですが(怖い)、
マット・デイモンが圧倒的な孤立にもかかわらずやけくそ気味に陽気なので
自分のそういう癖を思いつつちょっと共感はしました。
でも一人暮らしの自分の部屋と火星はだいぶ違いそうだし、その共感でよかったんだろうか?

オデッセイ
↑この人が「ゼログラビティ」主演のサンドラブロックに見えて、「よく宇宙ではぐれる人だなあ」と思っていたんだけど、冷静に見ると別に似てなかった。

あとは、最近のハリウッド大作を見てるとしばしば感じることではありますが
まったく必要のない中国のシーンが無理やり入っているのが本当に目立ちますね。
スポンサーの関係とかそういうアレなのでしょうけども、いくらなんでもそれは無理でしょうよ、
っていう感じで流れをぶった切っていきなり中国が出てくるの、多いですよね。
あのへんは映画製作側もももう「うまく話になじむように入れよう」とか、あんまり思わないことにしたんでしょうか。
無茶すぎて、一周回って面白いんですが、ちょっと現実に引き戻されちゃう、という意味では映画的にはやっぱりだいぶ損にはなりますよね。




近年の宇宙ものの大作、「ゼロ・グラビティ」では、
あんな怖い空間絶対に行きたくない、と思ったけども、
「オデッセイ」の火星は、ちょっと行ってみてもいいかも、くらいの気持ちにはなるので、
なかなか面白かったのではないか。


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↑もしかしたら原作の方がロビンソー・クルーソー感が出てまた違う引き込まれポイントがあるかもしれないので、ちと読んでみようかと。


←実際のところ、今火星って人行けるんでしたっけ?
posted by 六条 at 18:00| Comment(0) | 映画とDVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月14日

ストーブの前

雪祭りもおわり、春分も過ぎて、春一番も吹いたとかで
まだまだ寒いながらも
「冬の一番寒いところは乗り越えたぞーっ」
という気分も盛り上がってまいりました。

この冬の総括といたしましては
冬の猫はとにかく散らかりやすい
ということですね

ちーちゃんちーちゃんちーちゃんちーちゃんちーちゃんちーちゃん

いつ見てもストーブの前に猫が散らかっている状態でひと冬をすごし、
「寒い中に暖かい家があるというのはともかくも幸福なことなのだ」
という感覚を日々思いださせてもらったので
なんだか、わりと心穏やかな冬だったような気がします。


←十分暖まると急に狂ったように走り出すあたりが、まだまだ子どもであります。
posted by 六条 at 18:00| Comment(0) | ちーちゃん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月11日

「ザ・ウォーク」 〜とにかく高かった。

ザ・ウォークを見てきました。
結構面白かったのであります。

ザ・ウォーク
→公式サイト 映画「ザ ウォーク」

本当に、よくも悪くもトレイラーの映像がそのままなので
トレイラーを見て
「うひょー、高いなっ!」
という、単純な驚きに乗れる人には楽しいし
「だからなんなのだ」
という向きには、「なんなのだ」のまま終わる映画だと思います。
大変にシンプルな、高い高いエンターテインメント。


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↑実話。フィリップ・プティ本人の自伝をもとにしています。



「高さの表現」というところ以外の、映画のストーリーについてちょっと考えると
なんとなく曖昧なところもわりと多くはあるのです。

たとえば、主人公は、命綱をしない、ということにこだわり、その理由として
「見る人に嘘はつけないから」
みたいなことを言います。
でも、地上400メートルで綱渡りをする人の命綱を見て
「あれは嘘だマヤカシだ」って感じる人って、そんなに一般的だとも思えないんですよね。
少なくても、この作品を見ていて
「そこで命綱なんかつけたら、つまんなくなるよ」
という気には、全然ならない。
命綱があってもなくても成し遂げた事柄は変わらないのだから
協力してくれた人たちに万が一の後悔をさせないためにも、つけておくべきなんじゃないの、くらいに思うのですが、そのイチ観客としての私の気持ちを、
「そんなこと説明するまでもないっ」
くらいの勢いで軽々とはねつけていくので、若干置いていかれた気になったり。

ザウォーク


それから、主人公は自分のゲリラ的な綱渡りを「クーデター」と呼ぶのです。
クーデターという言い方をするからには、何か現状に対する鬱屈した思いがあって、ゲリラ綱渡で現状の秩序を混乱させる時にだけ、
それらを乗り越えられるような気分になったりするのかな、と思ったりするのですが、
そのへんは全然触れてないので
なぜか綱渡りをクーデターと呼んでる変わった人、
みたいな感じになってはいました。そこに意味はないのかい。

貿易センタービルの上に渡したワイヤーの上に居るときに、両サイドのビルからは警官が捕まえにきているけど、ワイヤーの上には自分以外誰も来ることができない、ザマミロ、という描写はあって、
しいて言えばそこがクーデター的といえる気もしなくはないんですが
案外さらっと流してて肩透かしな感じになったり。

……というようなストーリー上「あれ?」と思う箇所はいくつかあったのですが
でも、ロバート・ゼメキスがとにかくシンプルに高さの表現にだけこだわりたいと思った結果、ああなったのなら、それはそれでいいんじゃないか、と思わせるくらい、
映像がアトラクション的に面白かったのです。

ザ・ウォーク
↑そこに理屈はいらないのだ。高いたかーい♪


で、ここで急に今まで書いたことと全然逆ベクトルになりますけども、
家に帰ってきて色々考えた結果(別にわざわざ考えるほどのことでもないが)
アドレナリンとかなんとか興奮系の快楽物質が大量に出る経験に慣れた人って
大変なんだなあ、と思いました。
「アート」って言ってみたり「クーデター」って言ってみたり、自分でも色々と説明つけようとしてみるけども、
最終的にはアドレナリン中毒、なんじゃないかしら。
命綱をつけたくないのだって、落ちたら死ぬということによって自分が一番興奮するから、ということで納得できてしまうのです。

フィリップ・プティも、歳をとるとさすがにあんまり無茶な「クーデーター」はできなくなるのだろうし、人生最大のクーデーターを思い出す縁となる貿易センタービルももうないし、
「興奮への渇望」を今はどうしてるのかな、と思ってちょっと切ないような気もするのですよね。
凡人ならば人生が退屈であることに慣れ、ちょっとずついろんな面白いことを見つけていけるし、それを幸せと言ったりするのだけど、
貿易センタービルで綱渡りするのが気持ちいいと思うような人が
その後の人生をどうやって暮らしていけば満足できるのか、
って、想像するとなんだかすごく孤独なような気がするのです。

そのへんまで含めて、シンプルで、楽しくて、余韻もあって
なかなかいい映画でしたっ。




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↑過去にも一度映画化されておりますが、こちらは未見。


←すごく気持ちいいけど、何かのきっかけでその状況が恐怖のどん底に裏返ったりする、という紙一重描写がなかなか良かったです。
posted by 六条 at 18:00| Comment(0) | 映画とDVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする